自転車の鍵

 朝飯は時間がなかったのでとれず、水を一杯だけ飲んで出かけた。そのため午前中はずっと昼飯が待ち遠しかった。

 温玉丼が食べたいと思ったので、昼休みになると日高屋へ行って温玉丼付きのラーメンセットを注文した。12時前なのに店は夜の飲み屋のような賑やかさだった。帰りにスーパーへ寄っておはぎとイモ天を買った。

 戻ってカウンターにいると、和服を着たきれいな雰囲気の人がやって来たので、うきうきした気分になった。間も無く、うきうきが静まった頃、さっき貸出しをして出ていった母子が戻ってきた。お兄ちゃんの自転車の鍵が、落し物で届いていないかという問い合せだった。話を聞き、母親は二階へ鍵を探しに上がっていった。残された兄弟に、ポケットにはないか、今日はトイレには行ってないか尋ねると、弟はトイレには行っていない、トイレがどこにあるかも知らないと言う。それに対し、兄はトイレには行ったことがあると話した。しかし今日は行っていないらしい。

 カブトムシのキーホルダーと銀の笛が付いた鍵だったというので、お兄ちゃんに紙とペンを渡し、どんなものか描いてもらった。彼は大きな角のある頭部から描き始めた。キーホルダーは、ヘラクレスオオカブトムシのものだった。描き終えると、母親が鍵を手に持って戻ってきた。お兄ちゃんがテーブルに置き忘れていたということだった。描きあげられたカブトムシの絵は、中々傑作だった。

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