下し立ての春の服を着てうきうき

 昼休憩の時間になり、外に出て駐輪場に向かうと、顔見知りの利用者と出会った。その人は、昼はランチをやっている飲み屋の手伝いをしていて、以前からカウンターで会うとひかえめに店の紹介をしたりしていた。最近は店のチラシをくれたりした。

 昼飯の話になり、松屋に行くつもりだと言うと松屋は遠い、店に是非と勧められた。多少困りながらも、前にもらったチラシに「昼は弁当の出前あり」書いてあるのを見て親しい職員が関心を持ったりして、一度は試しに自分で食っとこうと思っていたこともあり、行くことにした。二人して正午前の青空の下自転車で走った。店には数分で到着した。

 店内はカウンター席がいくつかあるだけの狭い所だったが、スナックと聞いてイメージしていたよりもずっと小奇麗で、家庭的な手作り感のある店だった。定食は日替わりになっていて、一週間の定食がメニューにのっていた。今日は土曜日だが、どの曜日のでもできるようにしていると店のおばさんが言うので、月曜日の煮魚定食を頼んだ。ほがらかに話をしながらも、勝手の分からぬよその家に上がって、そこの一家と食事をする子供のような気分だったが、飯は抜群にうまかった。どこに行っても同じ味のチェーン店の食事とはまったく違うものだった。こういう食事は久し振りだった。学生時代によく立ち寄った定食屋を思い出させる昼飯だった。今日のように、外でばったり会うということがないかぎり行くことはないと思うが、いつか出前も注文してみたい。

 仕事の後スーパーに寄り、豆腐などを買った。卵を見ていると母子がやって来た。子どもは男の子で、5~6才くらいだと思う。

母「あれ、卵安くないね」

子「広告ではどうだったの」

母「でも卵焼き作るから…」

 と、母親は卵を買うのを迷っている様子だった。その横で、男の子は卵の値札を読み上げ始めた。

「にひゃくはちえん(208円)」

「ひゃくさんびゃくはちえん(138円)」

 母親が「おー、読めるようになったね」と言いながら他の所へ行こうとすると、男の子は「おい何で聞いていてくれないんだよ」と不満をもらした。小さい子どもにしてはちょっと粗っぽい言葉遣いが意外で、父親の口真似なのかなと思いつつ、子どものそのままの気持ちがその言葉から感じられ、面白かった。

 男の子は他の売り場でも「10の位は…」など、しきりに値段や数字について話していた。レジで清算を済ませると、親子も丁度出てきたところで、男の子は袋詰めを手伝おうとしていた。スーパーでの買い物が楽しそうだった。図書館で見かけるのとはまた違った子どもの姿を目にすることができた時間だった。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください