最後の一日は雨降りだった

 現在の配属先が休館することになった。今日で休館の準備作業は終わりとなり、明日からは館内を空にするための搬出などが行われるという。まわりの皆は数週間前に異動していったが、自分は残って片付けや作業にあたっていた。出勤するのは今日が最後で、明日以降は長い休みを取る。今年で7年目で、もうずいぶん長く同じところにいたことになるが、きもちの整理がつかないまま最後の日を迎え、昼飯に業者さんから鰻丼の大盛りをごちそうになり、最終確認と片付けを行い、すっかりがらん胴になった館内の写真を撮ってみたが何のために撮っているのかもよく分からず、傘をさして職場を後にし、一緒に作業してきた上司に別れを告げ、今までと何にもかわらない道をバスの車窓から見るでもなく眺め、昨日と同じように不忍池のほとりを歩いて京成上野の駅に向かった。パスモをチャージしようと券売機の前に立つと、左のおばあさんが闊達な様子だったが「お金を入れたが切符が買えないがどうしたらいいか」と尋ねるので、少し考えてから取消ボタンを押して行き先までの運賃を確認し、もう一回お金を入れてもらったら問題なく発券することが出来た。図書館で「検索機の使い方が分からない」と尋ねる年輩の利用者に案内するような感じのやり取りだった。
 ただ慌ただしく過ぎて行った日々がいったん終わったことの実感がわかないが、明日から続く休みの日にやることの準備に向けて心が少し焦り出している。一先ず、今のところ何とも言えないきもちを少し分かってみることが大事なのかも知れない。これまでにやってきたことはこれまでにやってきたことなのだ。とにかく今日は去り行き、明日になったら明日が来るのだ。

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