一年を振り返ってあれこれ語る

■アルバム
1. ザ・なつやすみバンド / PHANTASIA
 最初に聴いたとき、新鮮さと音楽的なチャレンジという全2作の良い部分が結実したアルバムだと感じました。音楽作品を賞賛する言葉はいろいろありますが、このアルバムを言い表すのにどんな表現も大げさでうまくあてはまらないように思ってしまいます。それは素敵な演奏と歌で築かれたこの作品に寄り添う瑞々しさに決まり文句が似合わないからかも知れません。ごく個人的な印象になってしまいますが、多分これからも忘れられない一枚になるような気がします。
2. TAMTAM / newpoesy
 名前だけ知っていたバンドで、音楽ニュースサイトで見た全曲紹介の短い動画が耳に残り、待ち望んで買って聴いた一枚です。それまでに聴いたことのないタイプの音楽がとても新鮮で、ステッパーズというリズムに独特の勢いがあり、何より馴染みのないスタイルでもしっかりと届いたのは歌の魅力が大きかったからかも知れません。新しい音楽って面白そうだな、と強く思うきっかけにもなりました。いろいろな変化を経て過去の曲は演奏しないと決めたということですが、そんな決心とメンバーの音楽に向かう楽しさが形になったアルバムなのかも知れません。
3. 片想い / QUIERO V.I.P.
4. 潮田雄一 / 水のない海
 ザ・なつやすみバンドの岡山公演の対バンで、サポートメンバーとして出演していたのを見るまでは全く知らない人でした。バンドのギタリストとしての活動と共に自身の弾き語りも行っており、このアルバムはフィンガーピッキングのギター演奏を主体として彩りのあるアレンジも交えた現代のフォーク作品となっています。英国フォークの良さを消化し、派手ではないがしっかりと立っている作家性に、「こんな人が今の日本にいたのか」と驚くばかりでした。
5. cero / Obscure Ride
 発売時に気になっていたものの、余りにも高い評価が世間に溢れているのに購入をためらっているうちに初回盤を逃して以降すれ違いになっていたバンドでした。Youtubeでライブ演奏を見るにつけ面白い音楽性に魅力を感じながらも、特に同じ男のバンドだから影響を受けてしまうんだろうなと心のどこかで避けていましたが、広島に来るというので遅ればせながら聴きました。ライブに興味を持ったのはmc.sirafuがサポートをしているのを知っていたからですが、秋のツアーからシラフ氏とあだちの二人は参加しておらず残念でした。
6. あだち麗三郎 / 6月のパルティータ
 ceroと同じように音源は入手しない代わりにYoutubeで”ベルリンブルー”は頻繁に見ていたものの、その独特な佇まいに何となく近寄りがたさを感じていたミュージシャンで、mc.sirafuと同じ片想いのメンバーでもあります。ceroのメンバーの荒内が”ベルリンブルー”の作曲者と知ったことがちゃんと聴くきっかけになりましたが、思っていたよりも耳に馴染む作品で、ドラマチックなロックマナーも漂っているのが意外なくらいでした。自分は訳もなく用心深いところがあるので「良いと思ったら聴いてみた方が良いのだな」と気付かされました。
7. ザ・なつやすみバンド / パラード
 聴き手の勝手な思いですが、昨年の発売時には1st”TNB!”のピアノ主体の演奏に期待が大きかったためギターの楽曲をすんなり受け止めることが出来ず、他の曲でも演奏が馴染んでいないように感じていました。それで聴き込んでいなかったせいか、大分前の作品のような気がしていた程です。しかし”PHANTASIA”のリリースツアーでこのアルバムから表題曲を始め何曲も演奏されるので聞き直し、良さをあらためて確認しました。聴き手は勝手なイメージで好みをえり分けてしまいますが、時間が経てば客観的に受け止められる、そんなところも音楽の面白いところです。
8. ふくろうず / だって、あたしたちエバーグリーン
 ふくろうずはドラムが脱けて以降ボーカル・ギター・ベースの3人でやってきましたが、やはりドラマーと一緒に作るものがダイナミックで良いと思います。リリースツアーには元メンバーの高城が参加していましたが、レコーディングには以前からサポートしている来来来チームの張江が携わっています。
9. モーモールルギャバン / PIRATES of Dr.PANTY
 アレンジは前作の流れで、キーとなるテーマとして「パンティ」を再び手にし、ユニークなビジュアル系とも言えるようなメイクと衣装でヘンタイの道を突き進む姿にメジャーデビューした頃のTシャツ時代を思い出して大丈夫かなと心配してしまうこともあります。しかしながらそうした定番のテーマや見た目の記号性だけで語るわけにはいかない、信頼できるバンドです。
10. 吉田ヨウヘイgroup / paradise lost, it begins
 TAMTAMのボーカルkuroが参加しているというので聴いてみました。西田修大というすごいギタリストがメンバーです。収録曲”サバービア”で「この路線の駅前はどこも似過ぎてる」「どの街でも判で押したような場所が繰り返す」と自分のいる場所について歌いながら、最後に「だけどさっき目が覚めた 君が道を 通り抜けると 空気が裂けて 木々がざわめく」と語られるある感情にはっとさせられます。
11. 森は生きている
 気になっていたバンドでしたが、知らない間に解散してしまっており、もし廃盤になってしまったら聴くことが出来なくなるんじゃないかとふと要らぬ心配をして直ぐ購入したものです。目当ては”日々の泡沫”でしたが、全体的には土臭さよりもほのかに感じさせる都市性が印象に残る作品でした。
 余談ですが、TAMTAMをはじめとしてこの15選の中にP-VINEのCDが4枚あるのに気付いて、 ニッチな洋ロック系の本を出版していた元ブルースインターアクションズということくらいしか知りませんでしたが、何か面白そうなところだと気になっています。
12. 優河 / TabiJi
 10月に行われたザ・なつやすみバンドの「ツアーファンタジア番外編」のゲストで知った若いシンガーで、歌の表現力が他の人と違うところに興味を惹かれました。「番外編」でMc.sirafuと一緒に演奏していた新曲も印象に残り、新作が楽しみです。
13. 湯川潮音 / セロファンの空
 この人の音源は今年初めて聴いたのですが、英国フォークとかサイケデリックの雰囲気を織り交ぜつつ清廉な歌声で聴かせるユニークな音楽性に驚くばかりです。
14. うつくしきひかり
 今年は”PHANTASIA”をきっかけになつやすみバンドの音楽にこれまで以上にのめりこもう、と聴けずにおいたこのアルバムをいざ探しても置いていませんでした(新宿のタワレコには2枚ありました…)。バンドとは違った資質がよく見えますが、この作品に関しては「ザ・なつやすみバンドとうつくしきひかり」というより”TNB!”と並べて聴くと面白いかも知れません。
15. HERON
 何を見ても「木漏れ日フォーク」という形容が目に入る英国フォーク作品ですが、言葉通り野外レコーディングで小鳥のさえずりなどが音源に残されています。フォーク好きにはたまらない一枚でした。

■楽曲
1. ザ・なつやすみバンド / ファンタジア
2. TAMTAM / 星雲ヒッチハイク
3. TAMTAM / CANADA
4. 潮田雄一 / 夢を見た
5. ザ・なつやすみバンド / Odyssey
6. ザ・なつやすみバンド / ラプソディー
 2作目の”パラード”収録曲です。中盤の民謡的なパートを経て、息急き立てる終盤の盛り上がりはライブのハイライトの一つでした。
7. ザ・なつやすみバンド / 蛍
8. ザ・なつやすみバンド / 森のゆくえ
9. あだち麗三郎 / ベルリンブルー
 これは多分名曲だと思います。ceroの楽曲は高城の手掛けているものが多いようですが、この曲の作者である荒内のスタイルが興味深いです。
10. 吉田ヨウヘイgroup / ユー・エフ・オー
11. ふくろうず / 春の王国
 ふくろうずは「春」を含む名前の曲がいくつかありますが、これはそんな春シリーズの名曲の一つです。ふくろうずは”砂漠の流刑地”の”ユニコーン”や”テレフォンNo.1″の”春の惑星”のように、アルバムの中に時々ロックバラードタイプの曲を収録していますが、ふくろうずの魅力の一つと思います。自分はそんなところに胸をうたれてしまいます。
12. 片想い / Party Kills Me
13. 優河 / 舟の上の約束
14. モーモールルギャバン / Dr.PANTY
15. モーモールルギャバン / モスコミュール・メルシー
16. 片想い / 感じ方
17. 森は生きている / 日々の泡沫
18. bonobos / 三月のプリズム
19. 片平里菜 / この涙を知らない
20. The Pentangle / Sovay

 一年の終わりに、聴いてきた音楽をアルバムと楽曲で振り返ってみたいと思います。環境の変化で自分の音楽の聴き方も変わり、以前と同じでなくなって大変なところもありましたが、特に今の時代の新しい作品に意識が向かうようになったのは良いことでしたし、収穫でもありました。そんな振り返りですが、どうしても暮らしの振り返りになって自分語りばかりになるのはご容赦下さい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です