騒ぎ出す季節

 駐車場から道路に出る1m程のスロープに、数日前からとかげが変な格好でオダブツしている。なんでそんな恰好で、と不思議に思うが、住人に何かされたようにも思えず、気になりながらもそのままにしている。アリが何とかするには大きすぎるが、かわりに何となくミイラになりつつある。夏のさなかに往く生き物がいる一方で、バイクにかけたレインコートに小さいヤモリが隠れるのを見かけた。これからまだ大きくなるのだろう。
 先日のこと、夜中に帰宅したときに階段で仰向けになっていたセミが朝もそのままになっていたので、羽を持ちあげたところブウーンと飛び立っていった。カナブンが時々ひっくり返って戻れなくなっていることがあるが、あのセミは一体夜中の間仰向けのままどうしていたんだろうと考えるがよく分からない。職場では、どこから入って来たのか分からないが、仕事に使う道具の陰にあまり大きくないバッタがつかまっていたから外に出した。駅のエレベーターにもバッタがつかまっていて、外まで連れて行ったことがある。バッタも勢いよく飛んでいくもんだ。
 そんな風にいなかは生き物たちの暮らしとの境界線があいまいに感じるが、町屋に住んでいたときには京成線の車中でカミキリムシみたいなのが服にとまってきたことがあった。虫は飛べるから、どこにでも入ってきてしまうのだ。しかし、こんなにも虫がそこらにいるのは、やはり街ではないからだろう。近所の川沿いの通勤路は雑草が伸び放題で、標識がすっかり見えなくなってしまった。夏はそんな季節だ。